つまりは絡み屋さんなわけだ。つまらぬところで他人に絡んでやめない。相手が無視している間にやめればまだしも自分とは関係のない話題にも絡む。それでトラブルになる。店は困るから出禁にする。
じゃあ絡み屋さんは何故そうなるのか、ということに関してはいささか不思議だが結局は欲求不満だ。承認欲求と言ってもいいかな。今まで見たり聞いたり或いは経験したりの範囲で言うと、例外なくマウントする性格がある。誰かが言った意見を否定したがる、お前より自分が上と言いたがる、金があると言いたがる、有名人の誰それを知っていると言いたがる、海外旅行などごく普通にしていると言いたがる、こともあろうに、大学出であることを言いたがる。大学って…。
絵を描いているのでそのついでに言わせてもらうと、絵を描く人間にはチラホラそのタイプが混ざっている。教えている人の中にもその顕著な例を見かける。面倒なかったるい世の中だ。
だがもうひとつ別のタイプがある。ビール一本で見事に変わる。その見事な例をたった一度だが目撃している。弱弱しく入ってきてうだつの上がらない感じのお父さん。いくらもしない内にビール大瓶飲みほしたと思ったら唇の色が紫色に変りブルブル震えて唾を飛ばして何かを喚き始めた。言葉が不鮮明でなにを言っているのかわからない。が、どうやら今の自分の境遇に関する欲求不満だろうか。他人には絡まない。というより周りとは全く関係なく喚いている。
カウンターを仕切っているお姉さん、更の注文を拒否して、早くお金払ってサッサと帰ってと叫んでいた。帰って帰ってと何度も叫んでいた。池袋の某居酒屋。
余程に何かが溜まっているのか、それがビール一本のアルコールで堰を切ったように破裂する。普段がそうであればとっくに病院に入っている。あんなに弱弱しく入ってきてこんなに変わる。どこで何の仕事をしている人だろうか、そんなことをつい思うのだった。
イイじゃん、人間なんてガラクタで。そこで認められないと思うなら会社は給料もらうところでしかないと割り切って、自分の世界は自分で作るんだ。自分など瓦礫で結構。そういう割り切りがないから溜まるのかな。何かをグッと堪えながら黙って飲んで帰るスタイルならちょっと魅力的だったかもしれない。
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瓦礫を描きたくなることが多い。自分には魅力的な題材だ。公募展でも廃船を描く人が少なくないように思えた。これってどういうところからくるのだろうか。朽ちたものとか破壊された残骸などに描画的な魅力を感じることが多い。自分はもとから廃墟趣味なのでこの分野は嫌いではない。
絵は色んなものを参考にしながら瓦礫の山を描いている。ここまで描いてどうしたものかと迷っている訳だ。